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【本】『イチロー・インタヴューズ』が面白い! [書評]

 マリナーズ・イチロー選手の渡米が決定した2000年秋から2010年シーズン直前までの全100時間超のインタビュー。イチロー選手は野球界では数少ない多彩な言葉で自身のプレー、心情を表現できるアスリートである。9年間にわたるメジャーでの戦いでの節目を数々のインタビューで残している。マスコミにはこれらのほんの一部しか伝えられていない。この本では、マスコミを通しては伝えられないイチローの心情を知ることができる。

 一部興味を持った部分を掲載する。(『イチロー・インタヴューズ』石田雄太著 文春新書)

(場面は2009年WBCでの出来事)
  準決勝のアメリカ戦が終わっても、イチローの中での感覚は戻っていなかった。鋭い当たりはほとんどなく、捉えたはずの打球が力なく転がる。それでも仲間がチームを勝利に導き、日本は決勝に進んだ。もちろん、言い知れぬ孤独感がイチローを包む。

 「もし負けたらオレたちはどうなるかわからない、という気持ちを持ってみんなで戦っていたのに、自分が何度も流れを止めてしまった。そんなときは監督と目が合うだけで心が痛みました。でも僕が救われたのは、みんながさせ続けてくれたことでした。ピッチャーは点を取られまいと踏ん張ってくれました。その中でも存在が大きかったのは、ムネ(川﨑宗則)、青木、ナカジ(中島裕之)の3人と、稲葉(篤紀)さん。結果がでない選手に近寄っていくことは難しいものです。でも彼らは意識的に声を掛けてくれて、結果に対するネガティブな意識を持っていることを感じさせないようにしてくれた。こんなこともあったそうです。野手のみんなが僕を盛り上げようと、ソックスを見せて試合前の練習に臨んでいたそうです。カメ(亀井義行)が提案してくれたらしいんですけれど、泣けてきますよ。ホント、いい仲間に恵まれて・・・・・みんなが僕の思いを察してくれていたんですね。その分、心の痛みは増しましたけど(苦笑)」

 イチローが苦しんでいることはチームの誰もが知っていた。それでもイチローに一切のネガティブな勘定を抱かなかったのは、この4人に限ったことではない。誰よりも早くケージに行って打ち、ヒットが出ないからといって普段のリズムを変えることもない。そんなイチローのアプローチを間近で見ていれば、結果が出ないことを責めようだなんて気持ちになるはずがない。むしろ、苦しむイチローをみんなでカバーしようという若い選手たちの強い気持ちがイチローとの距離を縮めてくれていたのかもしれない。

 「みんなとの距離を縮めようとしていたわけではないし、それが目的となっていたら距離は縮まらなかったと思います。僕はあのときの自分と正面から向き合わなければならなかったし、変えたくなるところを投げださないで、そこから何とか光をつかもうとしなくてはなりませんでした。それを僕は、チームの中では隠していなかったので、ひょっとしたらそんなところを見てくれていたのかもしれません。外の人に対しては、結果を出すことで何かを示さなくてはいけませんが、内側にいる仲間たち、チームの中では、そこが大事になることが常です。他の選手たちは結果が出ないときの僕がどうしてるんだってことを見てるはずだと、そう思っていました」

 そんな仲間たちとともに、イチローは準決勝の前夜に“決起集会”を開催した。イチローがお気に入りのロサンゼルスにある焼肉屋に野手全員が集まって、美味い焼肉に舌鼓を打ったのである。3年前に行われた“伝説の宴”と同じように--

 「みんな車の中で寝てて、寝起きの状態ですから、割と静かに始まるんです。中盤から段々、賑やかになってきますけど、すごく盛り上がって、という感じじゃない。そもそも、決起集会とか伝説の宴とか、誰がそんなことを言ってるんですか。ジョー(城島健司)が端っこの方で”ジョーの中でのすべらない話”を披露するくらいで(笑)、美味い焼肉をみんなで食おうというのが基本ですからね。
 でも、話していて思ったのは、この選手たちには向上心があるということです。みんなオールスターなのに、いろんなことに興味を持って、何かをつかみたいと思っている。試合前、一定の時間になると、1人の世界に入り込むんですよ。みんな、精神年齢が高くて、自分の世界を持っている。それは自分が背負っている責任を理解して、それなりの準備をしてきている証だと思うんです。ホントにいい選手が集まっていると感じました」

 そして、なかったはずの・・・・・いや、彼自身が手繰り寄せたに違いない、2回目のWBCでの44打席目が巡ってくる。

(以下、略)
 続きを知りたい方は、是非、購読を。

 さて、Wカップサッカー日本代表選手たちは、どのような意識で日の丸を背負って戦おうとしているのだろう。
WBC日本代表と比べると、サッカー日本代表には、「松坂」や「イチロー」選手が果たした役割を担う選手がいないことか。川口選手では酷である。


イチロー・インタヴューズ (文春新書)

イチロー・インタヴューズ (文春新書)

  • 作者: 石田 雄太
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/04
  • メディア: 新書



WBC戦記―日本野球、連覇への軌跡 (文春文庫)

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/04/09
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