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【続々】野沢那智さん、ラジオでお別れ会 2010年11月27日(土) 20時00分~20時55分

 「続々もう一つの別の広場」(TBSパックインミューック編)を40年ぶりに目を通してみました。昔は今のようなメールシステムはありませんから、番組に寄せられる投書は郵便での封書、はがきです。番組には毎週、3000通以上のハガキと数百通の封書がリスナーから送られてきたそうです。そして番組の中で紹介されるのは、10通ほど、と当時のプロデューサー氏が書いています。
 そしてこの本の中にある下記の投書は、野沢那智さんが番組で読まれたのか、読まれなかったのかは不明ですが、おそらく目を通し、あの独特の声で全国に朗読されたと思います。

「小児まひのわが子」
 野沢那智様、白石冬美様。お元気ですか。いつもお二人のこの番組を楽しく聞かせていただいております。今日は突然で失礼だと思いますが、一つお願いがありましてお手紙を差し上げる次第で御座います。
 もう私はパックを聞き始めて1年たちました。十数年程前に、夫に病気で死なれ当時小さかった息子を祖母に頼み、病院の家政婦の職につき、勤め出しました。仕事は最初は苦しかったのですが、毎日仕事が終わり、家に帰り、元気な息子の顔を見ると疲れも吹っ飛ぶようでした。
 その息子が5才のとき、小児麻痺にかかってしまい、努力の甲斐もなく片腕がきかなくなってしまったのです。
 そしてもう早いもので、あれから9年の年月が流れました。2年程前に苦労の連続だった祖母が亡くなり、親子二人になってしまいました。そして私はかわらず患者さんの看護を徹夜でしていました。そんなある日その患者さんの横にいた18才位の学生さんで足を骨折した患者さんが、多分その人もパックファンの一人だったのでしょう。
「おばさん面白いラジオ番組があるの。一緒に聞かない」と言われました。それが最初のパックの聞き始めでした。その次から聞ける時は息子と一緒に楽しみながら聞いてきました。
 さて今日のお願いと申しますのは、本当に我儘なお願いだと思いますが、12月19日は息子の誕生日なので御座います。この日に息子の為に一言励ましの言葉を言っていただきたいのです。息子はこれまで、必要品以外は何も欲しがりません。家計が苦しく、たいした事もしてあげられませんが、不平不満な事は一言も言いません。その上高校へ行けばなにや、かやと、お金がかかると言って中学へ入った時、不自由な体で、新聞配達まで始め、そのお金を貯金しているのです。不自由な体でよく頑張っております。初め、私は「体の不自由なお前にそんな事まで、しなくてもいい」と言いましたが、「自分のために、しているんだから」というのです。私は1月も続かないだろうと見ておりました。しかし驚くことに今も続いているのです。2年半近くも1日も休まずにやっているのです。貯金の額も初めは少なかったのですが、今では多額になっています。
「やりだしたら最後までやり通す」こんな息子を持ったのを誇らしく思います。夫に死なれここまで苦労して育てた甲斐がありました。

 野沢様。白石様。息子の大好きなお二人に次のように言っていただきたいのです。
「治君。15才のお誕生日お目出とう。何事にもくじけない、強く立派な人間になって下さい」と。
どうか、よろしくお願いいたします。
                                           群馬県 US
(以上「続々もう一つの別の広場 TBSパックインミュージック編 ブロンズ社」より掲載)

 このような話、すこしエッチなおはなしが満載、そして投書してくる世代は、中学生、高校生、大学生の世代であったようです。上記のような投書は、少し趣が違うのですが、感動した話でした。
 この頃の深夜放送は、身近な人には言えない、心の奥底に秘めた思いを吐き出してくれる一つの〝場〟の提供であったように思うし、現在よりもリスナーとパーソナリティとの距離が近く、血の通った交流があったと思う。

◆ 【続】野沢那智さん、ラジオでお別れ会 2010年11月27日(土) 20時00分~20時55分 

 
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