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原発インタビュー:水野明久・中部電社長/西川一誠・福井県知事 新たな安全基準の提示なければ再稼働なし [原発停止]

原発インタビュー:水野明久・中部電社長/西川一誠・福井県知事毎日新聞 2011年6月17日 東京朝刊

 東京電力福島第1原発の事故の波紋が全国に広がっている。中部電力では浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)が停止に追い込まれ、関西電力では定期検査中の原発再稼働への地元了解が得られるめどが立たず、夏場の電力需給が逼迫(ひっぱく)している。これらの当事者である中部電力の水野明久社長と、福井県の西川一誠知事が16日、毎日新聞のインタビューに応じた。

◆西川一誠・福井県知事

 ◇再稼働、安全性が最優先

 福井県の西川知事は、定期検査中の原発の再稼働について「電力需給と原発の安全の問題は次元が違う。(原発立地の自治体が)福島みたいになったら元も子もない」と述べ、安全性を最優先に慎重に対応する考えを示した。西川知事は「(東京電力で)あれだけの大事故が起きたのだから、それにふさわしい対策をとらなくては国民が納得しない」と述べ、政府が原発の再稼働に向けて新たな安全基準を早急に策定するよう求めた。

 西川知事は政府の安全基準について「原発事故から3カ月以上過ぎ、何らかの知見があるはずだ。今回の事故で問題になったと予測されることは、今の範囲で対策しておくべきだ」と述べ、政府が3月に電力会社に指示した津波対策などの「緊急安全対策」では不十分との考えを示した。具体的には「(運転開始から40年以上を経過した)高経年化原発の問題が大きい」と指摘した。

 関西電力が、福井県に立地する原発が再稼働できないと電力が不足するとして、一律15%の節電を要請したことについては「事故で電力を供給できない東電管内と関西は違う。節電は大事だが、もう少し(需要と供給など)数字を明らかにした方がよいと思う」と述べ、関電は説明責任を果たすべきだとした。「秋や冬になり、定期検査で原発がどれも動かない状態になると大変だ」とも述べ、政府の安全基準が示されれば、県として再稼働の是非を判断するとした。

 福島第1原発事故後、定期検査などで停止していた原発が再稼働したケースは全国的にない。立地自治体の知事は事実上、再稼働に同意する権限を持ち、商業用原発が全国最多の13基立地する福井県知事の対応が注目されていた。【川口雅浩】

◆水野明久・中部電社長

 ◇石油石炭税、軽減を打診

 中部電力の水野社長は、浜岡原発の停止による経費増を軽減するため、液化天然ガス(LNG)や原油輸入時に課税される石油石炭税の税額引き下げを政府に打診していることを明らかにした。また、自動車業界などの生産正常化で今年以上の需給逼迫が予想される来年夏の電力を確保するため、現在建設中の上越火力発電所(新潟県上越市)の試運転を今年11月にも開始し、送電開始を前倒しする考えを示した。

 中部電は、火力発電用燃料の追加調達に最大約2500億円の負担が生じると見込む。現在、浜岡原発停止時に海江田万里経済産業相と交わした確認書に基づき、負担の軽減策を政府と協議している。

 水野社長は石油石炭税の軽減について「一つのアイデアとして相談している段階。合理的な説明ができれば具体的に(政府に)提案する」と語った。同税は、LNGの場合1トン当たり1080円で、石油開発や燃料の安定供給対策に使われる特定財源の一つ。具体的な引き下げ額には言及しなかった。

 一方、現在建設中の上越火力発電所について、水野社長は試運転開始と同時に送電を始める異例の対応を取る方針を明らかにし、「今年冬の需要を下支えしたい」と語った。同発電所は同社が供給エリア外に建設する初の火力発電所。タービン棟4基完成後の合計出力は238万キロワットで、来年7月に1号系列1号機(出力59・5万キロワット)が運転開始予定。

 同社は、上越1号系列1号機に加えて、愛知県知多市の知多第2火力発電所2号機(出力15・4万キロワット)を今年冬に再稼働させる方針。それにより、「来年夏の最大需要に対する供給力の余裕は最低でも5%程度は確保できる」と述べた。【丸山進、工藤昭久】

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