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10シーベルト検出の衝撃「汚染源が燃料棒の可能性は否定できない」 [放射能汚染]

10シーベルト検出「汚染源が燃料棒の可能性は否定できない」
週刊朝日 2011年08月19日号配信掲載) 2011年8月11日(木)配信

 毎時10シーベルト──直接浴びれば100%死に至る高線量が測定された。これは何を意味しているのか。10シーベルトとは、これまでよく耳にするミリシーベルト表示すると、1万ミリシーベルト、さらにマイクロシーベルト表示で示すと、1千万マイクロシーベルトということになる。

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人体への影響ない被曝量が、1ミリか20ミりかの議論があったが、はるかに高い数値を示す地域が発見されたのである。普通に考えれば、人は近づけない場所となり、復旧作業もできないことになる。しかし大マスコミはあまり大きく報道しようとしない。何故なのだろう。そして、この記事の予想通り、汚染源が燃料棒の破片であったならば、大変な状況が福島第一の敷地内で起きていることになる。

 長くなるが、全文を掲載する。
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  毎時10シーベルト──直接浴びれば100%死に至る高線量が測定された。これは何を意味しているのか。これまで本誌は福島第一原発「最高幹部」の一人による独占告白を掲載してきた。今回の異常事態を受け、改めていま現場で起きている「真実」を聞いた。(本誌取材班)

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 福島第一原発事故の発生からもうすぐ5カ月になろうとする8月1日、東京電力から衝撃の「事実」が発表された。1、2号機の原子炉建屋の間にある主排気筒付近で、毎時10シーベルト(1万ミリシーベルト)以上にも及ぶ高濃度の放射線量が測定されたというのだ。これまでの最高値が、6月に1号機の原子炉建屋内で測定された毎時4シーベルトだったのだから、まさに驚愕の数値である。

 しかも、東電の発表では、この「10シーベルト」はここだけではなく、そのすぐ近くにもう1カ所、さらには、この2カ所と同じ配管でつながる1号機の原子炉建屋内でも毎時5シーベルト以上の放射線量が測定されたという。それも「10シーベルト」「5シーベルト」というのは、それぞれ器具の測定上限だというから、実際の放射線量がいかほどかわかったものではない。

 またか、という思いだ。

 枝野幸男官房長官が原発事故当日から「大丈夫だ」「ただちに健康に影響はない」などと言い続けていたにもかかわらず、実際は、1~3号機が震災後、間もなくメルトダウン(炉心溶融)を起こしていた。このことを東電がようやく認めたのは、事故発生から実に2カ月後のことだ。

 それが再び、いまごろになって「10シーベルト」が測定されたという。つまりこれは、事故によって高濃度の放射性物質が、想定以上に広い範囲に散らばっていたことを示している。

 ということは、あえて核心をいえば、よもやメルトダウンした“燃料棒の破片”そのものが、爆発によって原発敷地内、いや、さらには周辺地域にまで飛び散っていた可能性があるのではないか──。

 放射線を7シーベルト浴びた人間は、100%が死亡するとされる。当初から「安全」だと言い続けてきた政府に、本気で人の命を守る気があったと言えるのか。これまで本誌で独占告白を掲載してきた福島第一原発の「最高幹部」が、「フクシマの真実」を語り始めた。

 フクイチ(福島第一原発)で「毎時10シーベルト」が測定されたと大きく報じられていますが、現場としては「やはりな」という言葉しか出てきません。正直、「10」くらいは、いつか出るだろうと思っていた。作業の邪魔になるので、原発内の瓦礫がかなり撤去され、いままで埋もれていた場所があらわになりましたから。

 たとえば建屋内でも、ホコリなどで埋もれた場所から高い線量が計測されたことがありました。しかし、そうした場所を改めてきちんと計測したわけではないので、いわば“死角”になっていたのです。

 テレビ映像などでは、なかなか感覚がつかめないと思いますが、原発の敷地内、そして建屋内はかなりの広さがあります。正直、すべての場所で細かく線量を計測するのは難しい。

 さらに、同じ場所でも、その日の天候、風向きなどで線量が大きく変化することがあります。今回、1号機の原子炉建屋2階の空調機室でも「5シーベルト超」が測定されましたが、これも同様です。

 原子炉建屋の地下には汚染水が大量にあります。皮肉なことに、水は放射能を遮断する効果があるので、この汚染水のおかげで建屋内ではある程度、放射線量が抑えられているところもある。それも、日々の状況によって線量は変わってきます。実は、原発内にはそんな場所がたくさんあります。

 これだけの高線量が検出された理由について、東電原子力・立地本部の松本純一本部長代理は、

「事故直後にベントした際に、原子炉内で溶けた燃料から出た放射性物質が配管内を通り、配管の内部に付着した可能性がある」

 と説明している。

「ベント」とは、原子炉格納容器内部の蒸気を外部へ放出して圧力を下げる作業のことだ。1号機では震災翌日の3月12日午後2時半にベントが実施されたとされるが、その直後の午後3時36分、水素爆発が起きて建屋が吹っ飛んだ。2号機では、翌13日と15日の2回にわたってベントを試みたが圧力が下がらず失敗、15日午前6時10分に圧力抑制プール付近で爆発があった。

 果たして、東電の言うとおり、これらのベントが本当に今回の高線量の原因だったのだろうか。

 私自身、本社の発表のとおり、今回の高濃度は「ベント」が原因だったと思ってはいますが、正直、そうだと言い切れないところもある。以前(本誌7月22日号~8月5日号)も申し上げましたが、1号機の爆発で、原子炉から核燃料それ自体が外部に飛び散った可能性も、まったく否定することはできない状況ですからね。燃料棒がいまどんな状況なのか、メルトダウン、さらにはメルトスルー(原子炉貫通)しているのか、飛び散っているのか、地中まで溶け落ちているのか、確認ができていない現状では、何とも言いようがない。想定外も考えられます。

 いずれにしても、1号機でベントをしたのは、震災・津波の翌3月12日のこと。あれから4カ月以上、150日近くたって、まだ「10シーベルト」の高い放射線量が残留していた。ということは、大気中にもこちらが想定しているより、かなりのモノが放出されていることになる。なにしろ、今回の「10シーベルト」も「5シーベルト」も正確な数値ではなく、計器の針が振り切れて測定不能になった、つまり、それ以上の数値が出ているわけですから。

 爆発のため、建屋のあちこちの空調の配管も傷んでいます。1号機建屋内の「5シーベルト」は、そこから漏れている可能性もあります。きちんと測れば、「5」や「10」くらいの場所は、まだいくらでもありますよ。

 実際、個々の瓦礫や配管、敷地内の土壌などを細かく調べたら、とんでもない数値になるかもしれない。現実問題として、すでに線量が高すぎることが予想され、計測機を入れることができない場所もあります。

 今回の本社の発表では、この「10シーベルト」を受けて、ほかの場所をあちこち測定することはしないとも言っていました。先にも言いましたが、原発内は広いので、測定と言ってもなかなかできない。しかし、ずっとしなくていいのか、しないのかとなると、ちょっと違う。

 これから、いちばん危険なのは「被曝」です。放射能は目に見えないので、安全管理を徹底してもミスはある。この暑さ、湿度などで作業員たちも体力的にキツくなっている。建屋は爆発でエレベーターが使えず、作業員は重い資材も手作業で2~3階へと担いでいくので、消耗度はかなりのものです。いつミスが起きてもおかしくない状態なのです。

 もしも、「作業員が被曝した」ということになれば、日本中が大騒ぎになります。すると作業はストップし、働く人もいなくなる。だから、いずれ測定はきちんとしなければなりません。

 事実、7月の東電発表では、すでに100人以上の作業員が、今回の事故が起こる前の緊急作業時の上限だった総被曝線量100ミリシーベルトを超え、さらに、事故後に引き上げられた上限250ミリシーベルトも6人が超えている。

 しかし、その一方で、東電が目標とする原子炉の「冷温停止状態」のために欠かせない「循環注水冷却システム」はいまだ不安定で、稼働率は約74%(8月3日の東電発表)。前週の約58%、前々週の約54%からは改善されたが、このままでは工程表の「ステップ2」の期限となる年明けまでに、施設内にある全汚染水の処理を終えることもおぼつかないのが現状だ。大丈夫なのだろうか。

 今後、作業員はますます線量を浴びて、人手が不足していくでしょう。熟練作業員が下手に高い線量を浴びて現場を去ってゆく、という事態は何としても避けたい。そのために、できる限り詳細に放射線管理をしないといけません。

 作業員の中には、今回の報道で怖がっている人もいます。協力会社からは、家族から問い合わせがあったり、怖いから辞めたいと言いだしたりする作業員がいるという報告がありました。

 いま、線量が高い場所にはコーンを立て、貼り紙をして近寄らないようにしていますが、もっと違う遮断対策も必要です。おなじみになった「白い防護服」ではなく、鉛の入った特殊なものが必要になるかもしれないですね。無人ロボットをもっと活用すればいいという声もあるかもしれませんが、これもなかなかうまくいかない。やはり最後は人の手です。

 循環システムについて言えば、ようやく安定してきてはいます。しかし、処理量は6割、7割程度でまだまだ。状態が芳しくない中でかろうじて安定している、という感じです。

 7月19日に更新された工程表では、来年初めまでに「汚染水処理の完了」となっています。厳しいスケジュールですが、なんとか実現させたい。ただし、たとえ順調に処理が進んで汚染水がなくなったとしても、浸っていた場所はひどく汚染されています。今回の「5」や「10」というレベルではないでしょう。いわば燃料棒に直接、触れていたわけですから。さらに汚染水から取り除いた放射性物質は、凝縮されて高濃度の廃棄物となって残ります。

 これから台風シーズンの怖さもあります。今回の「10」を計測した配管は屋外です。当然、そこに降りつける雨水もある程度は汚染され、地中にしみこむ。

 さらに、爆発で倒壊の危険があった4号機の燃料プールは、無事に補強工事が完了しましたが、そもそも建物自体がボロボロの状態。いまでもコンクリート片がポロポロと落ちてくるのです。そんな状況で、強い雨や高潮のときに何か起きれば、汚染がますます広がってしまうかもしれない。気が抜けません。
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以上転載終了。


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