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道知事が泊原発3号機再開を容認 営業運転は震災後初 [原発廃絶]

道知事が泊原発3号機再開を容認 営業運転は震災後初
2011/08/17 01:58 【共同通信】

 歴史の流れに乗れない、時代認識ができない知事がいる。北海道を放射能まみれにする装置の稼働を容認するとは、全く信じられない。原発の危険性をわかっていないか、北電になにか弱みを握られているか、だ。為政者の最大の責務は、そこで生活を営む住民の安全保障だろう。原発の安全神話など、福島第一の事故で雲散霧消してしまったのに、まだわからないらしい。
 たかが電気を生み出す機械である原発を擁護する意図が、原発運転にからむ地元へ落ちるカネ目当てなら、最低の認識をもつ知事だ。

原発安全審査、根拠不明の基準 みーんなグルで建設を推進していた [原発廃絶]

原発安全審査、根拠不明の基準
2011年8月3日(水)22時25分配信 共同通信

 あいた口がふさがらない。いい加減な審査で、安全宣言しておいて、事故が起きたら〝想定外〟とは、あまりにもお粗末すぎないか。何時から、この国はこのようないい加減な工程、慣習となってきたのか。
以下に記事の全文掲載。

 原発の新設や、既設原発の設備を変更する際の安全審査で、国側が30年以上、根拠の定かでない基準を当てはめて審査していたことが、3日に開かれた原子力安全委員会の小委員会で明らかになった。福島第1原発の電源喪失について、電力会社側は電源が30分間喪失しても安全を確保できるとする審査の申請書を提出、国はそのまま通していた。しかし、安全委事務局は、審査に根拠がないことを認めた。

原発誘致で潤う自治体の住民が「こんなに儲かっていいの?」 原資は電気料金に上乗せできる総括原価方式が生み出す [原発廃絶]

原発誘致で潤う自治体の住民が「こんなに儲かっていいの?」
NEWSポストセブン 2011.07.30 16:00

 原発誘致が地元を潤す仕組みを作ったのは田中角栄だった。ガソリン税を特別会計の道路建設の財源にしたように、原発発電量に応じた交付金を地元に配分する仕組みまで作っていた。電力会社はその税金分のコストは「総原価方式」の名目で、電気料金に反映させてきた。原発をどんなにつくっても自分の懐が痛まない仕組みができていて、その金に群がった自治体、政治家、官僚、御用学者が原発を推進してきた。

 過疎の雇用先がない自治体は、じり貧を避けるためにも、麻薬のような金に飛びついた経緯が、麻薬のように一度手を染めたら、稼働後もその金を当てにして、次の原発も誘致してしまう。地元自治体の予算に占める割合を増やし、地元民の雇用を確保し、消費財等の供給も地元からと、すべて、カネでかすめ取らていたから、原発反対の声は、かき消されてしまっていた。

 ところが、これが大義名分として是認されてきた大前提は、絶対安全の〝安全神話〟があったからで、これが崩壊してしまった現在も、原発を維持しようとする姿に、住民の安全、生命よりカネ、という意識しか感じられないのである。ここで妥協してしまったら、何も始まらない。

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 原発の立地には過疎地が選ばれ、“迷惑料”を支払う形で折り合いをつけてきた。過疎化に悩む地方自治体が原発誘致によって地域振興を図ろうとしたこと自体は非難されることではない。だが、安全神話が崩壊し、あらためて原発の巨大なリスクが顕在化した今、原発マネーに依存してしまった自治体の悩みは深い。フリーライターの池田道大氏が報告する。

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「東京に造れないものを造る。造ってどんどん東京からカネを送らせるんだ」
 
 地元・柏崎刈羽原発についてこう熱弁を振るったのは故・田中角栄氏だった。この言葉が日本の原発の“生きる道”を決めた。
 
 日本の原子力政策の嚆矢は、中曽根康弘議員が原子力関連の予算を初めて提出・成立させた1954年。翌年、原子力基本法が成立し、1960年代には電力会社が相次いで立地を計画する。しかし、1970年代初頭に原発反対の声が高まり、立地計画は頓挫していた。
 
 閉塞状況を打破したのが時の首相・田中氏だった。田中氏は原発立地自治体にカネをばらまく仕掛けを作る。それが1974年に過疎地を振興する名目で成立した「電源三法」(電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法の総称)に他ならない。
 
 この法律により、電力会社は販売電力量に応じて1kW時あたり37.5銭の「電源開発促進税」を電気料金に上乗せして国に納付する。その額は標準家庭で年間1400円ほどだ。主に都市部で徴収した税金を特別会計に繰り入れ、交付金として過疎地の原発自治体に還元する仕組みである。
 
 実際、今年度予算案では一般会計、特別会計合わせて4000億円を超える巨額の予算が原子力分野に投下される。
 
 原発を1基造るとどれほど儲かるのか。資源エネルギー庁のモデルケースによると、出力135万kWの原発(建設期間7年)を新設する場合、環境影響評価が始まった翌年度から3年間、年5.2億円の交付金が支払われる。交付金は4年目の着工年度に79.2億円まで一気に跳ね上がり、その後40億~80億円で推移。運転開始までの10年間で約481億円もの莫大なカネが地元に流れこみ、50年間の総計は約1359億円というケタ外れの額になる。さらに、運転開始後は巨額の固定資産税収がプラスされる。
 
 原発立地自治体はこの“打ち出の小槌”を使ってせっせとハコモノ造りに励んだ。
 
 5月6日に菅首相が運転停止を要請した静岡県御前崎市の浜岡原発。旧浜岡町(2004年に御前崎町と合併)に原発誘致が持ち上がったのは1967年だった。当時の財界有力者は「泥田に金の卵をうむ鶴が舞い降りた」と喜び勇んだ。
 
 地元は1975年度以降、2005年度までに231億円もの交付金を使い、豪勢な市立図書館「アスパル」や屋内・屋外利用の市民プール「ぷるる」などの大型施設を建設し続けた。
 
 御前崎市の今年度の一般会計当初予算167億8000万円のうち原発関連の交付金や固定資産税は総額71億2100万円に上る。実に4割以上が原発マネーである。
 
“アメ”はカネだけではない。
 
 原発は雇用を生む。下請けなどを含めると雇用数は地域を凌駕し、福島第一原発と第二原発は地元で1万1000人を雇用した。およそ2世帯からひとりの割合である。
 
 地元優遇は徹底される。たとえば設備の拡張工事や花壇の整備、機材の納入などを地元の業者に発注。お中元など贈答品は地元デパートに大量注文し、商店街や町内会の小さなイベントにも電力会社から“心づけ”が届く。
 
 福島第一原発の地元で長年反対運動を行なってきた石丸小四郎さんがいう。
 
「地元の商店、住民は様々なかたちで電力会社の恩恵にあずかります。私の地元でも東電は地元の金物屋から貴金属を購入し、ガソリンスタンドの給油まで割り振った。原発関係者で潤い『こんなに儲かっていいの』とうそぶく飲み屋も多かった。地元では夜な夜な地主や有力者が接待され、土地譲渡などで貢献した人は東電に優先的に採用されるといわれたものです。こうして地元の隅々まで手を回すことで唯々諾々の“原発城下町”が作られました」
 
 電力会社が大量のカネを投下できるのは、電気料金がかかったコストに一定の報酬を上乗せする「総括原価」方式で決まるからだ。このため、電力会社はそれらの費用をユーザーの払う電気料金に転嫁できるのである。
 
 多くの原発城下町では、原発の恩恵にあずかる人が増えれば増えるほど、「ものいえば唇寒し」の空気が広がり、反対運動は追いやられてきた。

※SAPIO2011年8月3日号
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資源エネルギー庁、ネットのモニタリングは監視目的との見方を否定するならば、即刻そのような事業中止すべし! [原発廃絶]



 言いわけをし始めた。中途半端は目的で実行する必要はない。即刻中止して、その金を震災復興にまわせばいい。納税者としての意見だ。監視目的などしている暇も、金もないだろう。無駄金使う暇があるということ、このような仕事しか見い出せない組織は、仕分け上必要ないのではないのか。

 この組織を潰しても、国民生活はなんら影響をうけないはずで、資源エネルギー庁の廃絶を推進しよう。

 もうひとつ、ついでにこの国の国会議員の定数は、このままでいいのか。あの歳震災が教えてくれたことは、議員さんは数が多くても、なにもしない、できない態勢にあるのだ。だったら、国税のムダであるから、いまの3分の一に削減してもなにも変わらないと考える。

 現在の地位にしがみつくK首相。選挙区が被災地であるのに、具体的なアクションを越せないO氏。期待だけ持たせ党首選挙に出たりしたが、緊急事態に何もしないということは、所詮その程度の政治家であった、という証明がなされた。
 官僚が、現行の法律通りやるのは、当たり前で、緊急事態にその法律の弾力的な運用を考え、臨時法を施行して、実行させるのが政治家の仕事だろう。このような動きをもせず、政局を演出して、揺さぶりをかけるだけの野党も野党。この国の政治家は一体だれのための祀ごとをしているのだろう。それぞれの利権団体代表の議員さんには引退してもらわないと、この国の次の設計図は描けないのではないのか。

 この放射能まみれの結末を招いた関係議員にも即刻、責任を取ってもらい引退していただく。次の日本をどのようにしたいかを描ける政治家がこの国の中枢をになっていかないと、この国は放射能まみれのまま、沈没するだけである。子供たちに放射能まみれの国土を残すことは、犯罪である。

保安院:中部電に「やらせ質問」要請 プルサーマルシンポ 保安院もグルだった「やらせ」 [原発廃絶]

保安院:中部電に「やらせ質問」要請 プルサーマルシンポ
毎日新聞 2011年7月29日 11時57分 更新:7月29日 13時31分

 原発推進態勢派のデタラメかげんさと態勢内部のほころびが徐々に出始めた事象となっている。隠したい情報が、漏れ出した、ということは、推進派も一枚岩ではなくなってきた、ということ。これからの暴露合戦が面白くなってきた。

 以下の記事の全文を掲載する。この手の記事は、掲載後すぐに削除されるため。
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 中部電力は29日、07年8月に静岡県御前崎市で開かれた浜岡原発のプルサーマル計画をめぐる国主催シンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院から同社に対し、シンポジウム参加者を集めたうえで、参加者がプルサーマル反対派だけにならないよう質問を作成し、地元参加者に質問してもらうよう口頭依頼があったと発表した。中部電は社員らに出席要請はしたが、「やらせ質問」は拒否した。九州電力の「やらせメール」問題を受けた調査で判明した。電力会社側だけでなく、保安院も「意見操作」に加担していたことが明らかになった。

 同社によると、保安院からの依頼を受け、中部電本店原子力部グループ長が、地元参加者の質問想定文を作成した。しかし、同社の関係部署で検討した結果、「特定意見を表明するよう依頼することはコンプライアンス(法令順守)上問題がある」として、保安院の依頼には応じられないと決定した。

 やらせ質問の想定文は保存され、自然エネルギーとプルサーマルのコストを聞いたり、化石燃料があと何年もつのかという内容だった。文案が使用されなかったことは確認したという。

 一方、中部電側はシンポジウム参加者を集めるようにとの保安院からの依頼や、会場に空席が目立つのは適切ではないという判断から、社員や関連会社などに参加を呼び掛けた。参加の強制はしていないとしている。

 中部電は「直ちにコンプライアンスに反しないが、議論を誘導する意思があったとの誤解があったことを深く反省している」としている。

 シンポジウムには524人が出席し、周辺住民ら12人が質問したが、計画推進や耐震性を懸念する内容が中心だった。中部電は、同社の要請による出席者数は不明としたうえで「発言者に関係者はいなかったことを確認した」としている。

 参加者アンケートには357人が回答し、うち、プルサーマルの必要性を「理解できた」「だいたい理解できた」との回答は59%に達した。中部電は「アンケートをよく見せる意図はなかったが誤解を招いた」と述べた。【丸山進】

 ◇保安院自身の総点検を

 経済産業省が主催したプルサーマルについてのシンポジウムで、原子力安全・保安院が質問が反対派に偏らないよう中部電力に「やらせ質問」の作成を依頼していたことが事実とすれば、原発の安全性を規制するはずの官庁が、推進に「加担」していたと言われても仕方ない極めて深刻な事態だ。規制官庁としては自殺行為に等しく、早急に事実関係を明らかにし、責任を明確化することが求められる。

 推進側の資源エネルギー庁と規制側の保安院が経産省内に同居していることについては以前から批判が出ていた。中部電のシンポジウムでは07年の中越沖地震を受け、プルサーマルの安全性や耐震性について懸念する質問が上がっていたという。住民の安全性の懸念にきちんと答えるための説明会になっていたのか改めて詳細な調査が必要だ。

 東日本大震災後、保安院内部からも「原発の稼働率を上げるための安全規制になっていたのではないか」と反省する声が出ている。九電の「やらせメール事件」で、同省は電力会社の体質の見直しを指示した。細野豪志原発事故担当相は保安院の分離独立など組織再編の試案を8月上旬にも示すことにしているが、その前に保安院自身の総点検が求められる。【足立旬子】
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九電やらせメール:玄海、川内原発トップ黙認 事前に把握 [原発廃絶]

九電やらせメール:玄海、川内原発トップ黙認 事前に把握
毎日新聞 2011年7月10日 0時45分

 いままで全国の原発関係の世論誘導のためにどの会社もやっていることが、たまたま露見してしまったケースである。だから、後ろめたさはこれっぽっちも感じていないはずである。原子力ムラでは常識の範囲内の思考、行動であるからだ。
 今後は、九州電力バッシングの記事が山のようにでてくるはずであるが、騙されはいけない。やっていることはどこの会社も同じあるということと、東電福島第一の記事が減少することを懸念する。〝やらせメール〟にひそむ原子力ムラの掟を破壊してゆかなければならない。

以下に全文を掲載。
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九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を巡る「やらせメール」問題で、同原発と川内原発(鹿児島県薩摩川内市)のそれぞれのトップが、メールの内容を事前に把握していながら黙認していたことが9日、九電関係者の話で分かった。九電では従来、住民説明会で社員を動員するなど「やらせ」的な手法が常態化しており、原子力部門の閉鎖性もあってチェックが利きにくくなっていた。九電はこうした社内体質がメール問題の背景にあることを認め、週明けにも経済産業省に伝える報告書に盛り込むことにしている。

 関係者によると、6月26日の県民向け説明番組の前に、当時の原子力担当副社長ら役員2人が原子力発電本部の部長(執行役員)に説明会への対応を指示。これを受けて、部長の部下の課長級社員が、原子力本部出身で子会社4社の幹部に対し、原発再稼働に賛成する投稿を呼びかけるメールを送信。課長級社員は同様の趣旨のメールを玄海原発と川内原子力総合事務所の社員にも送った。両所長も内容を把握していたが、止めなかったという。

 一方、複数の九電関係者によると、国内で初めて09年11月に玄海3号機で始まったプルサーマル発電や、川内原発3号機増設計画などに向けた地元説明会には、同社や関連会社の社員の出席を呼びかけることが常態化していた。呼びかけにはメールを利用するのが一般的だったという。

 今回のやらせメールを含め、世論を誘導する一連の手法は九電内でも原子力部門だけで完結。今月6日の国会でこの問題が取り上げられる前にインターネットなどで疑惑が指摘されていたため、社内の広報部門が原子力発電本部に問い合わせたが、同本部は否定していた。ある幹部が「特殊な集団」と呼ぶ閉鎖性を指摘する声は社内にもある。

 九電は背景も含めたメール問題を調査中で、週明けに眞部利應(まなべとしお)社長が上京して経産省に報告、公表する予定。報告書で会社としてのチェック態勢の不備を認め、再発防止策を盛り込むことにしている。


毎日新聞 2011年7月10日 0時45分
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◇ ネットにダダ漏れ!九電原発やらせメールのお粗末な“仕掛け”
   2011年7月7日(木)17時0分配信 夕刊フジ

九州電力:「原発賛成」やらせメール 関連会社に依頼。「発電再開容認の一国民の立場から、県民の共感を得るような意見や質問を発信してほしい」と依頼した。 [原発廃絶]

九電:「原発賛成」やらせメール 関連会社に依頼
毎日新聞 2011年7月6日 20時59分(最終更新 7月6日 23時30分)

 東電の組織が腐敗していることは、今回の大事故で明らかになったが、九州電力も同様に組織も企業風土も腐っているらしい。何度も指摘するように、安全よりも目の前の金儲けに走る体質は如何ともしがたい。

 社長が知らなかった、関与を否定では済まされないだろう。微妙な言い回しが印象的だ。

自らの進退を問われると「進退まで問われる事かどうか。国とも話し合いたい」とかわした。

 まさか、国の指示でやっとというニュアンスではないだろうな。なんとも、最後の国とも話し合いたい、というフレーズが気になる。仮に、経済産業省からの指示ということになったら大問題に発展する。

 これで、玄海原発の再稼働の道筋は少し遠のいた。

◇ 原発耐性テスト:首相「再稼働の前提」 玄海は判断先送り

「九州電力玄海原発は爆発する」 週刊現代の記事より [原発廃絶]

 定期検査を経ての原発の再稼働が各地で難航しているが、国からの再稼働要請に地元自治体の首長も応えようとしている原発が、この九州電力玄海原発である。

◇ 玄海原発再稼働、玄海町長4日に同意伝達へ
   佐賀新聞 2011年07月03日更新

 しかし、福島第一よりも、浜岡原発よりも危険な原発であると、井野博満東大名誉教授が、週刊現代の記事で告発している。いつもながら、記事の内容をどう見るかは、読者個人の判断であり、国の、電力会社の〝安全宣言〟がいかにいい加減であるかは、東京電力福島第一の状況を見れば、明らかであり、もし記事の内容通りのことが起これば、〝想定外〟の言いわけは通用しない状況が生まれる可能性が高い。記事内容の概略を掲載する。

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 もっとも危険な原発--それは疑いなく、この玄海原発だ。もし事故が起きれば、その被害は福島第一の比ではない。予想される「大爆発」は、人々の命も日本の未来も、根こそぎ吹く飛ばしてしまう。

 チェルノブイリ以上の大爆発

 「原子炉は老朽化するにつれ、圧力容器が中性子線によって脆化=劣化していきます。すると、ある条件に陥った場合に、容器がバリン、と割れてしまう危険性があるのです。

 圧力容器の破壊は、原発にとって究極の大事故というべきものです。圧力容器が割れたら核反応の暴走を防ぐ手立てはほとんどなくなります。原子炉が、福島第一原発でも起きなかったような大爆発を起こすのです。その危険が、いま玄海原発(佐賀県・九州電力)に迫っています」

 そう指摘するのは、金属材料学の権威で、東京大学名誉教授の井野博満氏だ。

 東京電力福島第一原発のメルトダウン事故を受け、政府は浜岡原発(静岡県)の全面停止を決めた。理由は、M8超とされる東海地震が発生する可能性が高まっているからだという。

 しかし、果たして「危険な原発」は、浜岡だけなのか。井野氏は、日本で最も古い原子炉の一つ、玄海原発1号機の危険性を強く警告し続けている研究者だ。
                          ***
 一般にあまり知られていませんが、日本は〝原発老朽化の先進国〟です。

 アメリカは日本より10年早く、60年代に原発を稼働させましたが、大半はすでに廃炉になっていますし、ドイツも同様です。その頃に建設され、運転を開始した原発がいくつも使われているのは、日本だけです。

 こうした、政界に類を見ない老朽化原発の象徴的存在といえるのが、玄海原発1号機なのです。
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  玄海原発では、最も古い1号機と、97年運転開始の4号機が現在稼働中。2号機、3号機は定期検査中だ が、その再稼働を巡って地元は紛糾し、玄海町は稼働を承認するも、佐賀県は慎重な姿勢を崩していない など、議論が続く。
  また、3号機は、09年に日本初のプルサーマル発電を開始した原子炉としても知られる。
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 75年に稼働した玄海原発1号機は、いまや日本一危険な原子炉といっても差し支えありません。なぜなら、地震や故障など、何らかの原因で通常の冷却機能が停止し、緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動して原子炉圧力容器が急冷されると、その際に容器そのものが破壊されてしまう危険性があるからです。

 玄海原発1号機のような加圧水型軽水炉(PWR)は通常、圧力容器内が150気圧、300度以上の高温・高圧で運転されています。もし、この150気圧の圧力容器が壊れ、爆発したらどうなるか。

 容器内の放射性物質はすべて噴出し、空高く舞い上がり、広大なエリアに降り注ぐことになります。福島第一どころか、チェルノブイリ以上の大惨事になるのは間違いありません。
(筆者注:福島第一原発は沸騰水型原子炉である)

 では、なぜそれほど玄海原発1号機が危険なのかを説明していきましょう。

 原発の老朽化をはかるうえで重要な指標に、圧力容器の「中性子照脆化」というものがあります。原子炉内で核分裂が起きると、炉内で核分裂が起きると、炉内に発生した中性子が飛んで、圧力容器の内壁にぶつかり、金属にダメージを与えることになります。年月がたつにつれて、これが圧力容器を脆(もろ)くしてしまう。それが中性子照射脆化と呼ばれる現象です。

 一般に原子炉というと、非常に頑丈で、何か特別な材料でできているように思われがちですが、実はまったくそんなことはありません。圧力容器は鉄にニッケルやモリブデンなどを多少加えた鋼(はがね)でつくられていて、配管にいたってはステンレス製で、これは家庭用の流し台の素材と同じです。

 原子炉というのはそういうごくありきたりの金属でできています。したがって、他の一般的な機械と同様、径年によってガタもくれば、老朽化もする。しかも、その老朽化において原発特有の原因があり、それが中性子照射というわけです。
 
 原子炉があっさり割れる

 では、その脆化=劣化とはどういうものなのでしょうか。簡単に言えば、中性子線によって金属の柔軟性・弾力性が失われて〝硬く〟なり壊れやすくなる、ということです。
(中略)

 通常、鋼の脆性遷移温度はマイナス20度くらいです。しかし、中性子を浴びることによってこの温度がだんだんと上昇していきます。

 この温度が高いほど、原子炉は危険になります。なぜなら、地震等で緊急炉心冷却装置が作動し、圧力容器を冷やさねばならなくなった場合、この「冷やす」という必要不可欠な操作自体が、危険を招くことになるからです。

 玄海原発1号機の場合、この温度が、なんと「98度」になっているからです。

 ガラスのコップに熱湯を注ぐと、割れてしまいますよね。これはコップの内側と外側の温度差によって生じる力にガラスが耐えられなくなるからです。

 原子炉の場合は、これと逆になります。高温の原子炉の中に、緊急冷却のために水を入れる。すると、それによって圧力容器が破壊されてしまう。「脆性遷移温度」が高いということは、その際、より早い段階で容器が壊れる危険性が出てくる、割れやすい、ということになります。

 ちなみに九州電力が公表している玄海原発1号機の脆性遷移温度は、76年が35度、80年が37度、93年が56度でした。ところが最新の09年の調査で、それが一気に98度へと跳ね上がりました。

 何故これほど急激に上昇したか原因は不明です。

(中略)

 
 安全・保安院は知らなかった

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  もしも玄海原発1号機が爆発を起こした場合、周辺にどれほどの被害を及ぼすのか。元京都大学原子炉 実験所講師の小林圭二氏は、こう語る。
 「原子炉の脆性破壊は、いまだかつて世界が経験したことがない、巨大な事故になります。福島第一の事  故は深刻ですが、それでも放射性物質の9割は圧力容器内に残っていると思われます。

  しかし、脆性破壊で爆発が起きれば、圧力容器は空になり、ほぼすべての放射性物質が放出されてしま います。被害は玄海原発がある九州だけでなく、東は大阪にまで及ぶでしょう。大阪は現在の福島県の一 部のように、避難区域になって住めなくなります。しかも、事故の進展が早いので、退避することも難しい。

  さらに、被害は中国などの近隣のアジア諸国はもちろん、欧米にまで及ぶことになるでしょう」
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 呆れたことに、原子力安全・保安院は、玄海原発1号機の異様に高い脆性遷移温度のことを、昨年12月に私たち「原発老朽化問題研究会」が指摘するまで、把握していませんでした。

 九州電力はこの情報を保安院に伝えておらず、保安院も電力会社に問い合わせる義務がないので知らなかったと言うのです。福島第一原発の事故で、原子力の管理・監視態勢が全く機能しなかったことが問題になっていますが、ここでも同じことが起きている。

 安全性が顧みられないうちに、日本の原発の老朽化はどんどん進んでいます。

 脆性遷移温度が危険域にあるのは玄海1号機だけではありません。

 美浜1号機は81度、同2号機が78度、大飯(おおい)2号機が70度、高浜1号機が54度と、ワースト2位から5位まで、福井県にある関西電力の原子炉が占めています。また、6位の敦賀1号機(日本原子力発電・51度)も福井にあります。

 老朽化原発は一刻も早く、廃炉にする必要があります。玄海1号機のように、本来40年の使用を想定していたのを強引に60年に延長して使おうなどというのは、もってのほかです。
(以下略)
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 東京電力も福島第一原発が40年を経過して、さらに60年使おうと根回ししている最中に、あの大震災に巻き込まれたのである。

 九州電力は、『日本電気協会』が定めた基準(93度)を下回っており、安全性に問題があると考えておりません」と回答しているが、同じように安全性に問題がなかったはずの福島第一原発は、地震と津波の前に〝神話〟が脆くも崩れ去り、多重メルトダウンという惨状を呈し、その終息作業もその場対応の連続でかろうじて、最悪の事態を回避している状況が続いているのである。

 玄海原発で爆発が起きたら、放射線量が高すぎて人は近づけず、人海戦術では終息できないまま、時間だけが過ぎ去り、西からの偏西風に乗り、東日本一帯にも、福島第一原発がばらまいた以上の放射能をまき散らすだろう。こうなる事態にの前に、原発を止め、廃炉にするしかないだろう。事故が起きてからでは遅いのである。



 
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