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【浜岡原発停止】浜岡以外は確率低い 仙谷氏、原発地震被害で [原発事故]

浜岡以外は確率低い 仙谷氏、原発地震被害で
産経ニュース 2011.5.8 12:03

 仙谷由人官房副長官は8日のNHK番組で、浜岡原発(静岡県)の全面停止要請に関連し「浜岡原発の地域では80%以上の確率で30年以内に震度6以上の地震が起きる。他の原発は10%以下とか1%以下がほとんどだ」と指摘、他の地域との違いを強調した。

 同時に「日本海側、瀬戸内の原発はまず心配ないというのが科学的な結論だ。エネルギー政策として原発を堅持する」と説明。「浜岡原発の地震・津波対策はどこまでできているのか、科学的にも問題だと判断した」と述べた。
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 仙石も地震と原発震災の関係、地震予測の不確定性を理解していないらしい。

2011年5月8日の毎日新聞では、「浜岡だけ停止に疑問」と以下の記事を載せている。

 政府が浜岡原発(静岡県御前崎市)の運転停止を中部電力に要請したことについて、「他の原発についても運転を止めて抜本的な安全対策をすべきだ」との指摘が専門家から出ている。政府は、国の地震調査研究推進本部(推本)が公表した各原発付近の地震発生確率の中で浜岡が突出していることを根拠としたが、近年は想定外の被害が相次いでいる。電力各社が国に提出した津波に関する緊急安全対策も、最長3年がかりの取り組みとなり、その間に起きる想定外の地震や津波に対する防護策としては不十分なのが現状だ。

◆「権威」揺らぎ
 浜岡原発に停止を要請した理由について計座産業省原子力安全・保安院は、30年以内に震度6強以上の地震が発生する確率が「84.0%」とした推本の予測を公表。他の原発に比べて10倍以上高いためと説明した。しかし、「原発震災」の危険性を警告してきた石橋克彦・神戸大名誉教授(地震学)は「浜岡ばかりに目を奪われていると他の原発の危険を見落とす可能性がある」と指摘する。
 今回保安院が公表したのは、今月1月1日時点で推計した全国17カ所の商用原発と高速増殖原型炉「もんじゅ」付近の確率で、最も高いのが浜岡の84%。他は東北女川原発の8.3%、日本原電東海第2原発の2.4%など。福島第1は、0%だった。
 保安院は推本の評価を「一番信頼性の高い権威あるデータ」とし、各原発に求める耐震安全しの根拠にもしてきた。だが、00年10月の鳥取県西部地震(マグニチュード=M=7.3)や08年6月の岩手・宮城内陸地震(M7.2)など、被害を伴う内陸地震の多くが評価対象ではない未知の断層が発生するなど、「想定外」も相次いだ。
 石橋名誉教授は「推本が言及しない地域でも大地震が発生する可能性があり、備えなければならない」と強調する。

◆電力各社の緊急安全対策の概要
  
電力会社名原発名海水ポンプ等
の予備品確保
大容量の
非常用電源
防潮堤
北海道電力2年程度2年程度
東北電力東通12年度上期中 11年度上期中3年程度
東京電力柏崎刈羽12年度上期ごろ 11年度下期ごろ13年度上期ごろ
中部電力浜岡12年度末 12年度当初13年度
北陸電力志賀12年度上期 2年程度2年程度
関西電力美浜12年3月ごろ 11年9月ごろ12年3月ごろ
高浜同上 同上同上
大飯同上 同上13年12月ごろ
中国電力島根11年内 11年内2年程度
四国電力伊方12年3月末 12年4月末
九州電力玄海3年程度 1年程度
川内同上 同上
日本原子力発電東海第21.5年程度 11年度中検討中
敦賀同上 同上同上



◆対策完了に3年
 福島第一の事故を受け、海江田万里経済産業相は電力各社に津波被害を想定した緊急安全対策を作りよう3月30日に指示。被災した3原発(福島第1、第2、女川)を除く14原発と2研究炉の16施設の対策について今月6日夜、「適切」と認めた上で、浜岡原発に限り「東海地震への安全性をより高めるため運転停止を求めた」と説明した。
 浜岡以外の原発の運転継続に国が事実上お墨付きを与えた格好だが、抜本的な津波対策にはほど遠い。原子炉を100度未満の安定状態(冷温停止)に戻すには、電源車や発電機など大容量の非常用電源に加えて、冷却水を海からくみ上げる海水ポンプの予備などが不可欠。だが保安院によると、大容量非常用電源の配備やポンプ、その電動機などをすでに確保している原発はなく、完全配備には半年~3年程度かかるとみられる。
 大津波を防ぐ防潮堤の建設を10原発で計画(うち2原発は検討中)しているが、これも完成までには1~3年程度かかる見通しだ。
 NPO法人「原子力資料情報室」の伴英幸共同代表は「浜岡同様、抜本対策完了までは運転を認めるべきではない」と指摘する。
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 上記の対応策は、地震に見舞われてもプラントは壊れていないという前提であり、福島第一のように電源が復旧しても放射能を含んだ水が漏れてくるのであるから、こちらの対策も万全でないと、福島第一と同じ状況か、それ以上の悲惨な状況を招きそうである。
 

【浜岡原発停止】中部電 異例の要請に苦悩 危機管理態勢を敷くしかないだろう! [原発停止]



 決断の遅い日本式意思決定方法が世界的に注目集める中、中部電力も速やかに決められれない。完全に大企業病蔓延の症状だ。3.11以後は、いつこのような事態を迎える日が来ることを予想していなかったようだ。東電の福島の事故は、対岸の火事だと思っていたのだろう。ところが、火の粉が舞い降りてきたら、この体たらくである。〝非常時〟のリーダーと平和な〝日常〟時のリーダーでは、求められる資質が違うのである。ただのお飾り取締役連中ならば、全員を罷免して、非常時対応の取締役を選任して事にあたらないと、大変なことになるだろう。手遅れの事態が発生したら、のんびりと議論している暇はなくなる。

 30年以上も前から浜岡原発の危険性を指摘してきた石橋克彦・神戸大学名誉教授(地震学)の見解を掲載しておく。(毎日新聞2011年5月8日朝刊より)

 浜岡原発は東海地震の想定震源域の真上にあり、その危険性がたびたび指摘されてきた。東海地震の可能性を70年代から警告し、「原発震災」という言葉も提唱した石橋克彦・神戸大学名誉教授(地震学)は今回の要請について「全面停止は当然だが、もっと早い時期に止めるべきだった。少なくとも福島第一原発事故が起きた直後に止めなくてはならなかった」と指摘する。
 石橋名誉教授は「1978年に(東海地震への対応を定めた)大規模地震対策特別措置法が制定され、公共施設や民間施設などが防災対策を講じたにもかかわらず、直ちに停止すべき原発は聖域とされ、運転し続けてきた。浜岡原発をもっと早く止めていれば、それを機に原発の安全性への見方が厳しくなり、日本の原発行政が変わって福島第一の惨事も防げたかもしれない」という。
 石橋名誉教授は、05年の衆議院予算委員会公聴会でも浜岡原発への懸念を表明していた。
 石橋名誉教授は「アメリカでは地震は原子力発電所にとって一番恐ろしい外的要因と考えられている。地震の場合はいろんなところがやられるので、多重防護システムが働かなくなるなどで、最悪の場合、炉心溶融とかにつながりかねない」と指摘。浜岡原発については「東海地震の予想震源域の真上。中部電力は東海地震に耐えられるというが、地震学的に疑問がある。想定の地震がまだ不十分ではないか」と話していた。
 また、浜岡原発の地理的な特性として「御前崎は南西の風が吹くことが多い。その場合、静岡、三島を通って箱根の山を越えて、首都圏にも流れてくる」と懸念した。
 さらに、地震と原発事故が複合的に起こることで「放射能から避難しようと思っても、地震の災害で、津波や液状化で道路、橋はずたずた、建物は倒れ道路をふさいでいるということで、逃げようにも逃げ切れない。原発事故に対処しようと思っても対処できない。通常の震災では救出できる人が見殺しになる」と危惧を示していた。
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 上の記事を読んでも、被害規模が数字でしめされていないため、ピンとこないかもしれない。マスコミを想定被害のようすは報道しようとしない。ネットで調べるといくらでもでてくる。その内容が、大袈裟すぎるかそうでないかは、読んでみて判断するしかない。ただし、今が地震多発時代に突入しているという前提条件を加味して読むと背筋が寒くなってくるはずである。

【浜岡原発停止】全国の電力会社に広がる困惑、首相の停止要請で [原発事故]



 政府が電力会社の経営に口出すことに困惑しているとの報道である。自分たちの利益となる国の政策には、歓迎して困惑しないし、今回の東電のように1会社で損害補償を賄いきれないとすると、国頼みとするくせに、都合の悪い国の指示は、〝困惑〟で喜んで賛同するとはいかないのである。そして、マスコミも現在の放射能垂れ流し状況にある〝非常事態〟を認識しない、民主党のエネルギー政策の変更がさきであるとか、現地御前崎市では、交付金が減るであるとか、原発で働く人々の雇用をどうするのか、と枝葉末節的な議論にあきれ返ってしまう。
 東海地震が予測通り、M8.4の規模であれば、浜岡原発は、原子炉自体は壊れなくても、福島第一の事故でも明らかなように原子炉を冷却するための〝水〟の再循環系が圧力容器の外側に付けられていて、構造上、地震の揺れに対し極めて弱い。この再循環系プラントが壊れてしまえば、燃料棒が水面から出てきて、空だきとなり、原子炉の暴走が始まり、最悪の炉心溶融(メルトダウン)に繋がる。

 現在の〝非常事態〟の意識を共有できないということは、また日本のどこかで福島第一と同じ事故が発生しないと、自分のところは関係ないということなのだろう。地震列島である日本に原発立地に適した土地はどこにもないというのが、御用学者でない地震学、材料工学、機械工学、変動地形学の専門家の主張であり、これ以上の〝原発震災〟を防ぐためには、全原発の停止、廃炉も視野に入れるべきである。

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